2次元と3次元のあわいで 2.5次元舞台について
「あこがれの二次元さま……少しでも、そこに近づきたい!」
「それを叶えるのは、きっと人類最大の発明ね」
『2次元ポケット』A応P
2.5次元舞台。
日本2.5次元ミュージカルHPによると、「2次元の漫画・アニメ・ゲームを原作とする3次元の舞台コンテンツの総称」とのことです。
一般社団法人 日本2.5次元ミュージカル協会|JAPAN 2.5-DIMENSIONAL MUSICAL ASSOCIATION (j25musical.jp)
あと、いまHPを見たら、毎月25日は2.5次元の日!って謳っていました。純粋に知らなかった。
先日、老若男女が集まる場所で、自分の好きなものをなんでもプレゼンしてみよう!という機会に恵まれました。
そこで私は、「2・5次元舞台」について紹介しました。
事前に、今度2.5次元舞台についてプレゼンやるんだ~と観劇お友達に話したところ、「そんなに2.5次元舞台見たことなくない?」とツッコまれました。
え……そんな……!?
と思ったけど、確かに、いわゆる2.5次元舞台の中でも有名だったり大人気舞台、テニミュとか刀剣乱舞とかA3とか、一度も生で見たことないな……!と今更気付いて、ごくごくまっとうな指摘でありがたいと思いました。
だからまあ、2.5次元舞台について、メジャーどころも知らない女が、2.5次元舞台見たことはおろか聞いたこともほとんどないような人たちに向けて話したわけで、
上手いたとえが思い付かないんですが、
たとえて言うなら、白米を食べたことない人間がラーメンや麻婆豆腐やナポリタンで日本食を外国人に向けて紹介したようなもの……?? 違うかな。とにかく。
自分の知ってる範囲での、2.5次元舞台の魅力について、紹介しました。
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2次元と、3次元の間に立つ、2・5次元、という言葉。
これそのものが、面白い発明だと思います。
舞台は、人間がやるから、理屈としては、どうしたって3次元であるはず。
それでも、「2次元と3次元の間に立つ」という主張。
それこそが、面白さの根幹だと思います。
プレゼンの一番初めに、やっぱり掴みはテニミュだよね!と、テニミュの映像を流しました。
個人的な趣味で、四天宝寺の「勝ったもん勝ちや」にしました。
好きなんです。勝ったもん勝ち。いい言葉だ。
プレゼンの冒頭で、「2,5次元舞台という言葉をご存じですか?」と、大体20人ぐらいの老若男女のオーディエンスに挙手してもらいました。5、6人ほど手が上がりました。
次に、「言葉を知っていた方の中で、実際に舞台を見たことがある方はいらっしゃいますか?」と聞きました。
だれも手を上げませんでした。
「ですよねー笑」としか言えなかったです。
本音を言えば、同世代の女性も割合としては多かったので、一人ぐらいいるかな…と思ったのですが、0人という結果には「そうだよね!」と思うほか無かったです。
次に、舞台のキービジュアルなどを使って2.5次元舞台の具体例を紹介しました。
原作の知名度と、私自身観劇したり配信で見たりして好きだったものとの兼ね合いで、4つ選びました。
・『封神演義』
・『幽遊白書』
・『パタリロ!』
・『ヘタリア』
4つそれぞれに聞いたわけではないのですが、プレゼン後の質問や感想では、男女ともに『封神演義』が原作読んだことあると言われることがこの中では一番多かったです。
ヘタリアは、個人的な興味から、またオーディエンスに原作漫画を知っているか尋ねたところ、女性からは1人も手が上がらず、唯一、国際事情や軍事に詳しい男性一人がヘタリアを知っていると手を上げてくれて、
「そういえば元々ヘタリアって国際軍事ネタ発祥だったな」と思い出され、興味深かった。
閑話休題。
聴衆に2.5次元舞台の雰囲気がなんとなく伝わったかな~というところで、
一般的な2・5次元舞台のイメージ、というのを予測して上げてみました。
・なんだかコスプレっぽい
・オタクっぽいな
・漫画やアニメを実写化した映画と違いなさそう
とても優しいオーディエンスだったので、表立っては言う人も居ませんでしたが、
これらイメージを上げていったとき、
なんとなく、共感しているような雰囲気が伝わってきました。
「コスプレっぽい。」「オタクっぽい。」「実写映画化と何が違うのか。」
それらのイメージは「大体合ってる!!」と話しました。
プレゼン中で、一番ウケが取れた瞬間でした。
2.5次元舞台は、コスプレっぽい。オタクっぽい。
これを根底から否定できる人は、2.5次元舞台のヘビーユーザーの人でも、なかなかいないんじゃないのかな、と思ったりします。
2次元の存在を、3次元の生身の人間で再現することによって、日常ではありえないような髪型だったり、髪の色だったり、衣装も、派手だったり、武器がついていたり。
それらに対して「コスプレっぽい」と感じるのは、素直な感想じゃないかな、と思います。
実写映画化との違いは、明確なものがあると思うのですが、後述します。
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「そもそも、漫画やアニメやゲームを舞台化する意味はあるのか?」という問いかけに移りました。
「子供の頃好きだった漫画が舞台化した」という仮定の下、
予想できる、デメリットとメリットをそれぞれ上げました。
●デメリット
・好きだった作品のキャラクターイメージが壊れる
・好きな作品だからこそ解釈が違うなどがあると、非常に嫌な思いをする
後者の、解釈違いの例として、好きなエピソードが削られたり、好きなキャラの解釈が違う、「このキャラはこんなこと言わない!」といったことや、
物語の意図そのものが思っていたものと違う、「作者はこんなことが言いたくてこの話を描いたんじゃない」ということが起きる、
という話をすると、聞いてくださってる皆さん、「ああ……」とそれぞれ思い当たる節があるようで非常に良い表情を見せてくださいました。
〇メリット
・役者、脚本、演出、衣装など、プロフェッショナルが関り、好きだった作品に新しい形で再び出会える
・生身の人間が演じることで、舞台上で、好きなキャラクターが「生きている」と感じることができる
前者の、「好きだった作品に新しい形で再び出会える」というのは、連載終了した漫画など、新規の展開が終了してしまったコンテンツに、舞台という新しい形で再び触れることが出来る、という説明をしました。
後者は、このプレゼン中で一番の熱量を籠めて話しました。
キャラが舞台上で生きていると感じられること。
私が思う、2.5次元舞台の魅力はいろいろとあるのですが、やはりこれが大きな魅力の一つだと感じます。
漫画のキャラも、アニメのキャラも、ゲームのキャラも。
2次元だけど、でも、そこに生きているキャラの多くは、人間で。
物語の世界に生きているけれども、その多くが、私たちと変わらない人間であるはずなんです。
私たちと同じように、喜怒哀楽の感情があり、仲間との友情をはぐくんだり、衝突して葛藤したり、夢を追いかけたり、挫折したり、懸命に生きている。
3次元の人間がそれを演じることで、
「私たちが生きているように、彼らもまた、生きている人間なんだ」
「舞台の上で、あのキャラが、生きている!」
そう思えることが、
その感動が、感激こそが、
私が、2.5次元舞台を見るときに求めているものなんだな、と、
プレゼンをしながら再確認しました。
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そのあとは、総括として、
2.5次元舞台は、原作に沿った分かりやすいストーリー、歌やダンスなどエンタメに特化しているものも多く、その点では親しみやすいかもしれないということ、
全ての2.5次元舞台がお勧めできるかといえばそうではなく、新しいジャンルであるがゆえに、玉石混交の感があるのは否めないこと、
クオリティの高い低いもあると思うけれど、それよりも、見た舞台が合う合わないは、見た人次第があるとこもあるので、見てみなきゃなかなか分からないのが正直であるということ、
コスプレっぽいと思ってても、舞台で見たら「意外とアリ」というパターンもあるということ、
見たらやっぱり、「コスプレっぽくて違和感強い」と思うパターンも普通にあり、そればっかりは見ないと分からないということ、
などを話しました。
コロナと緊急事態宣言による去年からの公演中止、そこからのチケット代高騰についても触れました。
チケット代も高いので、なかなか、気軽に見て!とも言えないけれど、
それでも、好きな原作が舞台化する、とニュース等で聞いたとき、
初めから「ないわ~」とするのではなく、選択肢の一つとして、興味を持ってもらえると嬉しい、という風にまとめました。
先述した、
「実写化映画との違いはあるのか?」
なんですが、
私は、これはもう単純に、「舞台であること」に尽きると思います。
特殊効果、エフェクトにおいて、映画の表現には敵わないかもしれません。
でも、目の前で生身の人間がキャラクターを演じている、
その面白さ、贅沢さ、は、
舞台の方が、私は勝ってると思います。
勝っているというか、より、好きだな、というのが、正直な思いです。
プレゼン終了後の感想で、
「今まで好きな漫画が舞台化すると「なんで舞台化するんだ」と嫌だったけれど、「新しい形で好きだった原作に再び出会える」という言葉で、少し、見方が変わった」
という風に言ってもらえたのが、とても嬉しかったです。
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今年見た2.5次元舞台では、
ゲームアプリ「ドリーミング」のミュージカル舞台化、ドリミュ、もとても好きでした。
パタリロ!の舞台、「パタリロ! 霧のロンドンエアポート」がなにもかもツボでものすごく好きでした。
2・5次元の舞台の紹介したあとで何ですが、オリジナル舞台も面白いものがたくさんあるなあ、というのが最近の感想で、
今月11月は、
宇宙人と地球人の交流を描いた「スペースなスペース」
第二次世界大戦で特攻を命じられた隊員の日常と恋を描いた「Kiss Me You がんばったシンプ―達へ」
を観劇しました。
どちらも趣は異なり、どちらもとても素晴らしかったです。話も演出もキャストも全部よかった。めっちゃ好きでした。
「スペースなスペース」は一回観劇の予定だったんですが、良すぎたので2回に増えました。
「知恵と希望の極悪キノコ」「サンサーラ式葬送入門」「アナザーレンズ」「時空陰陽師」そして「スペースなスペース」と見たので、今年は舞台でお芝居を最も多く見た役者さんは山沖勇輝さんになりそうです。良い役者さんだと思います。
「KissMeYou」で主演をつとめた南米仁さんはこれからも応援していきたいなあと思いました。主演めちゃめちゃ良かった。
そして、つい先日、以前にも記事で宣伝した、磯貝龍乎さん脚本の「MAD朗毒」を観劇しました。
ネットで内容を話すな、と公式から厳命されているので、詳細は何も話せないのですが、
やっぱりいそがいりゅうこがすきーーーーーーー!
ってなりました。
感想は以上です!
なんか見ている最中もオチを見たときもひたすら「いそがいりゅうこがすきーーーー!」ってなりました。
楽しかったです!
今週末まで赤レンガ倉庫のホールで公演してるので、気になった方はぜひ!
おすすめです!
2.5次元舞台を語る、というテーマから大分ずれました。
舞台のジャンルなんて本当はどうでも良くて、
ただ自分が面白いと思える舞台、面白くないと思う舞台、
その2種類しかない、とも思うのですが。
でもやっぱり、2.5次元舞台って面白いと思います。
大好きなアイドルグループのA応Pの、『2次元ポケット』という曲中、メンバーのセリフのかけあい部分がありまして。
「あこがれの2次元さま……少しでもそこに近づきたい!」
「それを叶えるのは、きっと人類最大の発明ね」
と言うんです。
3次元のわたしたちは、完全に2次元に行くことは、2次元になるのは、どうしたって、不可能です。
それでも、不可能だと分かっていても、不可能だと分かってるからこそ、限界まで近づこうとする。
憧れへ向かってひたすら、実現しようとする。
2・5次元舞台はそんな、人間の、ひたむきな努力であり、発明だと、思います。
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来月12月は、2.5次元舞台の『ヘタリア』を見に行きます!
前作まではDVD等で見たことはあるのですが、直接この目で舞台を見られるのは、今回が初めてになります。
磯貝龍乎さんを知ったのが、過去作のヘタリアミュージカル通称「ヘタミュ」を見て、原作ヘタリアの推しキャラである「アメリカ」を演じているのを見て沼に落ち、
その後ヘタリアの過去作3部作履修したあと「宇宙戦艦ティラミス」のヴェンチュリー艦長で初めて舞台上の磯貝龍乎さんを拝見して、それが決定的になり、二度とは戻れぬ深淵まで沼に落ちていった、という顛末があるんですが、それはまた違う機会に話させてもらえたら、と思うのですが。
とにかく、磯貝龍乎さんを知ったのが、ヘタリアシリーズの三部作最後の公演も終わり、ヘタリアミュージカルの劇中曲を扱ったライブも終わっていて、当時、ヘタリアミュージカルのコンテンツは、ジャンル外の人間から見て、うつくしい終焉を迎え、新規展開が望めないような雰囲気でした。
だから、磯貝龍乎さんのアメリカを、舞台で、この眼で見ることは、きっと一生無いんだろうな、と思ってました。
それはそれで巡り合わせだから仕方がないと受け止めていたら、僥倖に恵まれて、どうやらアメリカを演じる磯貝龍乎さんを私も見ることが出来るようだ、と最近なって。
人生っていろんなことがあるなあ、と思いました。
しまらないオチで恐縮ですが、
2・5次元舞台は面白いし、
来月のヘタリアが楽しみ!
ということで、話を終えたいと思います。
2次元と3次元のあわいに立とうとする人間の試みに、祝福あれ!
最後に、「あわい」という言葉を改めて検索した時に、
なるほど!と思った記事から、引用させていただいて終わりたいと思います。
「
あわいとは、「間」のことです。古語では、「あはひ」と書いて「あわい」と呼びます。
この「あわい」という概念は、日本人の美意識であり哲学です。日本人ほど「間」を重んじる民族はいないでしょう。
それは、何気なく普段使っている言葉に現れています。
例えば、人間、仲間、時間、空間、間違い、間に合う、間が悪い、間抜け、一手間など「間」という言葉をよく用いるのは日本語の特徴だと思います。
「あわい」というのは、事物と事物をつなぎ、取り持つ存在であり、その存在はそれら事物の関係性により絶えず変化し生じたり滅したりする「空」という存在なのかもしれません。
「あわい」を言い換えれば、スキマですが、このスキマがあることで、一つの物体として認識することができます。
そのスキマは「ゆとり」であり「よはく」が内包されています。」
【発酵思想 Vol.4】“あわい”の哲学-「茶室」と「発酵」の共通性 …
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